ジャニーズWEST初めての東京ドームの話。
去年のRainboWツアーは「見せるコンサート」で、今年のMix Juiceは「一緒に楽しむコンサート」だった。Mix Juiceでのメンバーの楽しそうな姿に「あぁやっぱりこっちの方がメンバーにはしっくりくるんだな」と思った。一緒に楽しむ、寄り添い認めあうスタンス。だからドームツアーとなるとどうなるんだろうなぁと思った。
1公演のみ、アリーナでしか見ていないので、スタンドからの体感は想像でしかないんだけど、きっと、「アリーナクラスのライブをドームでやった」と感じる演出だったんじゃないかなとは思う。花火は多めだったけど、大きな機構、派手な特効、よりもマンパワーのライブ。わたしはどうにもマンパワーのライブが好きなタイプなんだけど、それでもかなりステージは平面的な演出だったし、モニター使いも最近のセットとしてはかなり小さい方だったように感じた。ただ、その辺は正直予算の問題もあるだろうとは思う。
今の在り方をそのまま見せてくれていたと思うし、何より本人達が本当に楽しそうで、幸せそうでそれがよかった。ユニットパフォーマンスはせず、全曲全員でのパフォーマンス。「俺らは俺ららしく、あなたはあなたらしく、うまく行かないこともあるけど、そのままでいい、みんなでそのままで生きていこうよ」というメッセージはとても強く感じられた。
「間違っちゃいない。」の前に語った重岡の言葉は、とても印象深い。「駆け出しの頃に作った曲で」「その頃の自分は本当にめちゃくちゃで」「全然先が見えなくて」「みんなが助けてくれたから」「ひとりじゃないんだって」と言葉が溢れていた。
今回のツアーでは毎回この話をしてるのかもしれないけど、ステージ上で、葛藤していた自分についてここまで言葉で表現したことってあっただろうか。2018年を"駆け出しの頃"と本人が認識していたことも驚いたけど、「あの頃本当にむちゃくちゃで」という言葉から、彼の中にある深く暗い隙間の部分が垣間見えて、「重岡のアビス…」*1と思ってしまった。
重岡大毅という人は本当に笑顔が素敵な無邪気で面白い人だけど、人に見せないと決めた部分は絶対に見せない人だ。そういう重岡が、重岡の明るさの奥というか、端っこに、細いけれど底が見えない真っ暗な隙間があることを見せてくれたように感じた。その隙間がいつできたのか、何が原因で出来たのかなんて知る由もないし知る権利もないけれど、もしかしたら本人も分からないのかもしれない。ただどうにもその黒い隙間に吸い込まれそう、飲み込まれそうになる時期があったんじゃないかと思う。それをメンバーが気付いてくれた。メンバーに自分の意向を否定されたという事だけで、追い込まれ隙間から闇に落ちてしまいそうになる脆さ。
そこでメンバーがとった行動が重岡を救ったわけで、それがあるから、今の「俺らは俺ららしく、あなたはあなたらしく、うまく行かないこともあるけど、そのままでいい、みんなでそのままで生きていこうよ」というスタンスの軸ができた。
今の彼らのメッセージには説得力がある。そのメッセージに支えられている人が真ん中にいるから。だからその強いメッセージに背中を押してもらえる人も沢山いる。
そういう意味で、すごくしっかりとかたまったなぁと思う。そういう説得力を感じながら見ていた。
今の彼らの進もうとしてる道に、発してるメッセージに、違和感はない。ただ、今の自分が求めてるエンターテイメントとは違うんだな、というのをRainboWの時にモヤモヤもなく納得した。*2だから自分は別のエンターテイメントをメインに楽しむ。ただそれだけだなぁ。
ジャニーズWESTに対しての感情とは別に、小瀧さんへの感情もあり、小瀧さんの健やかさは東京ドームでも本当にキラキラとしていて、本当に素敵だった。どうにもどこかにコンプレックスを強く持っていたり、表現に捻れや拗れを感じる人を好きになってしまう自分にとって、唯一の限りなく健やかな推し。小瀧さんの甘く伸びやかな声、顔を真っ赤にしながらのパフォーマンスも、ずっとキラキラとしていて素晴らしい人。ずっとキラキラとしていてほしい。
しかし、関ジャニ∞の18祭、WESTの東京ドームと見て、万博に向けてこれからもっと「関西ジャニーズ」という括りは強調されていくと思うけれど、その先にあるもの、その動力となっているものは間違いなく「大阪の政治」なので、なんとも言えない気持ちが大きくなってしまう。背負わせてもらっていて光栄と捉えるのはちょっと難しい。ただもう早く、無事に万博が終わってほしい。でも万博が終わった後にもちゃんと何かが残せている状態にしないといけない、という気持ちでいろいろとやってるんだろうなぁ。でもその責任はステージに立つものが負うべきではないよね。
