「美しい彼シーズン2」もいいドラマでした。
美しい彼はいいドラマだった。本当にいいドラマだった。
映画化が発表されたときも「いい映画になるだろうな」と思ったが、シーズン2が発表された時も「そらいいドラマになるだろうな」と思った。
絶対的な期待値をもってシーズン2を全4話見て、改めて期待値を越えてくるいいドラマだった。
恋人同士になってからのひらきよの話。練乳のチューブをそのまま吸ったような甘さの1話から始まり、回が進むと見えてくる「変わってるのに変わってない」みたいな「変わってないけど変わりたい」みたいな、絶妙なそれぞれのもがき。すでに社会に出てキャリアを積んでいる清居と学生から社会人になる手前の平良の成長の差。
就活がうまくいかない学生の「自分は社会から人間として認めてもらえないんだ」というメンタルを知ってる身としても、社会人と学生のカップルの関係性を知ってる身としても、ツラいツラいツラいの描写がくる。映画に向けてそのまま終わってしまうのかなと思っていたら、しっかりドラマとしてひとつのハッピーエンドを見せてくれた。
高校生からそれぞれの世界が広がり、平良と清居に関わる人間が増えた。無粋な見方をすれば予算も増えた。シーズン1の成功により、予算が増え、キャストが増えることで、元々の世界観の良さが薄まってしまうのが怖かった。結果的には外の世界と関わりながらもシーズン1同様に平良と清居の世界を丁寧に描いていてくれていて、なお「暮らし」があった。ドラマから直接映画に進めてしまうと描くことが難しかったであろう2人の暮らし。ファンはいくらでも頭のなかで二次創作出来るにしても、実際にシーズン2のドラマをはさんでその部分をより丁寧に描いてくれたことは愛でしかない。
「画の美しさ」へのこだわりも変わりなくよかった。3話での平良のバイトのシーンの作り方が本当に好きだった。ただモンブランに栗をのせる単純作業のバイトでも、目の前に並ぶモンブランがその時の平良にとっては希望だった。ともすれば暗く描きがちなシーンでも、平良の心情を反映して、暗いなかでも美しく輝くモンブランのシーンとなっていた。こういう画を作ってくれるからこのドラマが大好きだ。
改めて、美しい彼の製作陣が八木勇征を見つけてくれたことに感謝してやまない。
いつかは見つかる人だったには違いないけれど、ひとりでの演技仕事をしたことのない2021年に、八木勇征という人を見つけてくれたことは本当に奇跡だと思う。*1
八木勇征という人が俳優としてのキャリアを積んでいく上で、美しい彼の現場が最初であったこと、相手が萩原利久くんであったこと、本当によかったなとしみじみ思う。どのドラマも現場では一生懸命作られているとは思うけれど、それにしても美しい彼は真摯にあたたかく作られていると思うし、何より相手が利久くんだったから、撮影のなかでどんどん演技を吸収していけたんだと思う。利久くんの演技が最初から圧倒的に安定していたからこそ、勇征くんの清居としての演技がどんどんと成長していく様が視聴者の心を掴んでいったと思う。何より清居っていう役が本当に八木勇征にあう役だったというのもあるのだけど、2022年以降ずっと演技仕事を受け続けているのを見て、本当に良かったなと何度も噛みしめている。
ありがたいことに、「美しい彼~special edit version~」の先行上映会イベントに行くことが出来た*2ので、ドラマをスクリーンで見たけれど、本当によかった。ドラマとして作られた映像でも、熱量が込められた美しい画がスクリーンに広がり、何も薄まることがなかった。見れるチャンスがある人はぜひ見てほしい。
スクリーンでシーズン1を見たことで、映画に対しても安心感をもって待てている。間違いなく美しい映像を届けてもらえる。楽しみでしかない。