私たちに希望をくれる人がどれだけの痛みを抱えながら走り続けているのか。
「揺るぎない息吹を」と題された安田さんのドキュメンタリーを見た。
全体的に本当にすごくすごくいろんな事を考える時間になった。
軽いノリの「偽善者か」という言葉に何年も囚われた話もすごくすごく思うことが沢山あるけれど、個人的には脳腫瘍の手術前にヘルニアの手術をしていたということが衝撃的だった。
2016年12月から2017年1月までやっていたツアーのバックステージの映像(あれは多分DVDにつくツアードキュメンタリーのために撮られていた映像だと思う)が使われてたけど、2017年2月の開頭手術の直前にヘルニアがあるなら2016年なわけで、2016年って夏はリサイタルがあって12月からツアー。秋に手術なのかなということになる。*1
そして2016年12月発売のNOROSHIのカップリングとして安田さんが作ったBlack of nightがある。このMVなどの作業をしていたのはいつのタイミングだったんだろうかと考えると恐ろしい。
ドキュメンタリーのなかでは脳腫瘍の術後、翌年4月の腰の骨折の話にすぐ移ってたけど、実際のところ2017年の5月6月には公演時間3時間30分*2の主演舞台で演歌歌手役をこなし、7月から9月まで関ジャニ∞としてツアーを行っている。レギュラーのバラエティーにおいてもあからさまに欠席をしていた記憶はない。収録がいつであったかは定かではないけれど2017年の6月までクロニクルでいきなりドッジをやっていたらしい。*3少なくともヘルニアの手術前後にも収録はされていたと思う。
大倉さんが「無理しないでただ生きててくれ」と悲痛な思いで電話をかけたのがどのタイミングであったのかは分からないけれど、2018年に公表を決意するまでは、そのまま普通にアイドル像を維持してやり続けるつもりだったということなんだと思う。2018年に公表をした際もヘルニアの手術については全く触れていなかった。全てのメディアを見てきたわけではないけれど、公式にヘルニアの手術をしていたことを伝えられたのは今回が初めてではないかと思う。
通常、表舞台に立っている人、少なくともジャニーズの人が抱えている悩みや病気や痛みについて、ファンにも見せてくれていることは本当に小指の爪くらいの事なんだろうなと改めて思った。
本人の意思にもよるけれど、どんなことがあっても公表をしない人の方が多いんだろうと思うと、定期的な音源リリースを行い歌番組出演し映画ドラマや舞台に出演しプロモーションを行いバラエティーやラジオのレギュラーを持ちながらツアーを行うという仕事をし続けることの恐ろしさを改めて感じている。
都度わざわざファンや関係者に心配をさせる必要はないのかもしれないけれど、長期の休みをとることもなく走り続けることが正しいこととも正直思えなくなってしまった。
今はともかく、これまで毎年ツアーがあることが当たり前であったり、年に1枚はアルバムが出ることが当たり前であったり、それを続けてくれるグループが沢山いるけれど、もう、そういうペースでやり続けることはないんじゃないだろうか。壊れる前に壊れないように休めるように、ツアーやリリースのペースは若いうちからもっとひとつひとつの間隔を広げていくべきなんじゃないだろうか。
アイドルである以前に人間として、これ以上磨耗し続けないように活動してほしい。
アイドルだけではなくて、いろんな場所でいろんな形で働いている人たちがみんな、その役割のなかで磨耗しないバランスで生きていけたらいいのにと強く思ってしまう。もう、人を磨耗させる前提の仕組みは終わりにしようよ…
ただでも、表舞台に立つことを選んでくれたこと、その上で今出来る事をひたすらやり続けてくれること、その事にひたすら感謝をして、ありがたく受け取っていくし、自分自身がしっかりと生きていきたい。
*1:2016年の1月の元気が出るライブのオーラスには大倉さんが腸閉塞を起こしている。
*2:20分の休憩含む
*3:https://tournesolt.hatenablog.com/entry/2016/10/27/000000